1990年頃,日本ではMRSAが流行して「院内感染」という言葉が用いられるようになりました.病気を治すための病院で,薬剤耐性菌に感染したのでは本末転倒です.以来我が国では,安全に医療を提供できるよう院内感染対策に注力してきました.また様々な病原体から医療従事者を守ることも大切です.広島大学病院でこの役割を果たしているのが感染制御部です.

本院は同じキャンパス内に医歯薬保健の各学部・学科が揃う強みを生かし,細菌学・ウイルス学・疫学・公衆衛生学・薬物動態学などの基礎医学との融合で,厚みのある感染対策体制を構築してきました.また専門資格を有する各職種に加え,事務の各部門と一緒に機動性のある危機管理を目指しています.さらに行政や他の医療機関との情報共有・意思疎通も欠かせません.

100点満点の回答がないのが感染制御です.どこかで線を引く事も求められますし,対象となる微生物は日々変化しています.何が起きても対応できる柔軟性と決断力を持って本院ならびに地域医療に貢献していきたいと考えています.

 

広島大学病院感染制御部長 大毛 宏喜

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